壁と建築材料
石灰に糊料を使用する明瞭な記録は江戸時代初期まで見当りません。
また、ヨーロッパ系の漆喰工事では糊料を加えないのが普通で、それでも施工は可能です。
・・・このようなことから、白土の場合と異なり、石灰に対しては糊料を使用しなかったのではないかという一抹の疑念は残ります。
しかし上塗材料として糊料を必要とするのは、白土よりもむしろ粘度に劣る消石灰の方で・・・
このことは、外壁リフォーム技術など現在の建築材料学の知見を侯つまでもなく、経験によって容易に知られるところです。
そうすれば既に白土への糊料の使用が確実な当時、石灰へ適用されなかったとする方が不自然でしょう。
いわんや、スサは白土・石灰とも同種のものが使用されており、また、中国(江南地方)でも石灰に米を混入する習慣が古く存在していました。
・・・このような状況から、奈良時代には白土・石灰ともに糊料が使用され、具体的には白米が最も多く、稀に膠がこれに充てられたと考えておきます。