照明には何を選ぶべきか 2
ピアノは全然調律されていませんでした。
浜松から貨車に揺られて関西まで、そして某駅から工場まで砂利道をトラックにゆられて来たのですから仕方がありません。
音がばらばらになっているので調律をしないと使えないから調律師を探してほしいとお願いすると、労務課氏が突然怒りだしてピアニストに
「新品のピアノが悪いはずあるか、音がばらばらでも叩くところがこれだけたくさんあるんだから、あんたもプロならよいところを選んで叩いたらよいだろう」。
戦争が終わって文化国家として再生しようという気運が台頭してきた頃の話です。
工場の体育館にあるピアノはこんな状態なので、ピアノの出し物を少し減らしてプログラムを組み、なんとか切り抜けていましたが・・・
この巡回公演での受難はまだまだ続きます。
数日後、労務課氏にこにこしながら現われて、「明日はグランドピアノがあります」とのこと。
当時の工場の体育館ですから、アップライトのピアノがあるだけでもちょっと贅沢で、工場によってはこの公演のためによそからピアノを借りた所もあったような状態なのに、
「グランドピアノがあるとは期待できますね」と。
しかも照明はかくれん棒です。